名作映画「カッコーの巣の上で」の内容や作品の背景など紹介します。また、最後にはセリフから英語フレーズを紹介します。
ところで、皆さんはこのタイトルの意味を知っているでしょうか?カッコー(英語の発音はクックーが正しい)とは鳥の一種で、英語では鳥を指す意味以外に"まぬけ"や"狂っている"という意味があります。
要するにカッコーの巣とは精神異常者(カッコー)がいる精神病院(巣)を意味しています。
では、もう少し詳しい映画の紹介と、この作品の時代背景も併せて紹介していきます。
「カッコーの巣の上で」ってどんな映画?
1975年に公開された映画で、個人による社会への反対をテーマに描いた"アメリカン・ニュー・シネマ"の代表作として知られています。主演はジャック・ニコルソンで、彼の出演作としてはシャイニングと並ぶほど評価が高い作品で、彼は本作でアカデミー主演男優賞も獲得しています。
本作の内容としては、刑務所で刑期を逃れるために精神病を装った男が、精神病院に入院し抑圧された患者たちに希望を与えるというものです。
アメリカの隠れた暗い過去
ロボトミー手術とは?
この作品を語る上で、忘れてはいけない精神治療方法があります。それがロボトミー手術と呼ばれるものです。
それは精神異常のある患者の脳の一部(前頭葉白質)を切除することで、暴力的だったり落ち着きがない性格を穏やかにするという治療法で、1930年代後半から1970年代あたりまで世界中で行われていました。(日本でも行われていた)
ただ、1960年代に入るにつれて、手術後に患者の感情がなくなる、人間性が失われれるのではないかと世間から非難が出るようになり徐々にこの手術が行われなくなっていきます。
ちなみに、アメリカではジョン・F・ケネディの妹であるローズマリーがこの手術を受けた後遺症により人格を失ってしまったという話が有名です。(ケネディ家の汚点になるということでマスコミに暴かれるまで、この事実は伏せられていたようです。)
ネイティヴ・アメリカンの抑圧
また、この映画には主人公の相棒的存在としてチーフというネイティヴ・アメリカンが登場するのですが、彼が父親について「おやじはデカい存在だった、みんなから頼りにされていた、でも酒に飲みこまれ殺されてしまった」という風に語っているのですが、この発言の真意はネイティヴ・アメリカンの歴史を知らないとわからないと思います。
多く方が知っているようにアメリカという国はもともとネイティヴ・アメリカンと呼ばれる先住民が住んでいる土地にヨーロッパから移民がたくさん訪れ、彼らが独立を宣言したことによってできた国です。
そして、ヨーロッパからの移民たちが中心となりアメリカという国を形成していく中で、ネイティヴ・アメリカンは邪魔な存在ということで土地を彼らから奪ったり、彼らに不利な条約を作っていきました。
そこで登場するのが、お酒です。ネイティヴ・アメリカンはもともとお酒を飲む習慣はありませんでしたが、白人たちが酒を持ち寄り彼らを泥酔させることで、不利な条約を結ばせていたという歴史があります。
今でこそ、アメリカは自由な国だと言われますが、このように集団社会の中ではみ出したものに対してこのような仕打ちがあったことをどれだけの人が知っているでしょうか。
では、最後に英語フレーズを紹介していきます。
英語フレーズ紹介
Move it up
「前に進んで」
これは、精神病患者が薬をもらう列に並んでいるときに言われたフレーズになります。"Move up"で「前に進む」という意味になります。「前に進む」といういえば"Move forward"という表現が一般的に知られていると思いますが、"Move up"も同じようニュアンスで使われることが結構あります。
Get a grip on yourself
「しっかりしろ」
"Get a grip (on yourself)"で「しっかりしろ、冷静になれ」という意味で、怒っているというよりは慰めているような応援しているようなニュアンスがあります。
Mind if I smoke?
「たばこ吸っていい?」
相手に許可を取って何かするときに"Do you mind if~"で「~してもいいですか」という意味になります。
おそらくすでに知っていた人も多いと思いますが、会話の中ではこの文のように"Do you"の部分が省略されることが結構あるので、それを知っていないと意外と聞き取るのは難しいと思います。また、"Mind if"で慣れていると"Do you mind~"はより聞き取りやすくなって一石二鳥です。
Are you with us?
「話聞いてる?」
直訳する「あなたは私たちといる?」となりますが、実際は「話を聞いてるの?」という意味になります。よく聞くシチュエーションとしては、生徒たちに先生が話しているときに、先生が話しを聞いてなさそうな生徒に対して「あなた話聞いてる?」という感じで使われます。
学園系のドラマでは、毎回出てくるといっても過言ではないぐらいよく聞く表現です。
では、今回はここまでとなります。