約10年ぶりに、「時計仕掛けのオレンジ」を観たのですが、以前見たときには気付かなかったことがいくつかあったので、内容と併せて作品で使われている単語や英語のアクセントについて、シェアしたいと思います。
ちなみに、この映画はスタンリー・キューブリック監督製作の下、1971年に公開され、たちまち高い評価を受け、当時いくつかのアカデミー賞にもノミネートされました。そして、今なお映画ファンの中では高い評価を受けている作品となっています。
どんなストーリー?
ストーリーとしては、主人公である非行少年アレックスが仲間たちと夜な夜な残虐な犯罪行為を行っていたが、あるとき仲間に裏切られ、殺人罪で刑務所に服役することになり、程なくして更生プログラムという名の精神実験を受け、どのように彼の精神が変化がしていくのかといった話です。
一応見たことない人のためにいうと、この映画は極めてバイオレンスかつ壮大な作品です。
冒頭では、いきなり物乞いをぶちのめしたり、助けを求めるふりをして資産家宅へ押し入り強姦。
それが主人公アレックスの日常であり、幸福。他人の悲劇が彼にとっての幸福。またその裏では、優雅なクラシック音楽が流れるという対照的な描き方もこの映画の特徴です。スタンリー・キューブリックのBGMの使い方は独特でセンスの塊です。
時計仕掛けオレンジの意味とは?
ここで、タイトルの「時計仕掛けのオレンジ」という意味について。この映画を観たことがある人でも、どれくらいの方が意味を知っているでしょうか。
僕は改めてこの映画を観るまで知りませんでした。(DVD持ってるのに)
これはまさに、実験後のアレックスを指している言葉だと思います。元々これはコックニーライムミングスラング(Cockney Rhyming Slang)といってロンドンの下町で使われている訛りの表現から来ています。
「Queer as a clockwork orange」
「一見普通に見えるが、奇妙」といった意味になるそうです。
(Wiktionary調べ)
正直、なぜこのような意味になるのか、いまいちピンとこないです。
というのも、コックニーのスラングは実際の意味と使われている単語には全く関わりがなさそうに見えるものが多く、英語ネイティブ話者であっても元々それらの表現を知っていないと、意味を理解することは不可能なぐらいです。イギリス人ならわかる人も多いと思いますが、その他英語ネイティブ人はほとんど知らないと思います。
ちなみにイギリス人でもコックニーアクセントを話す人はかなり少なく、ロンドンの東の一部の労働層のみです。
なので、この映画では数少ないコックニーアクセントが聞ける作品の一つとなっています。
そこで今回はせっかくなので、有名なコックニーライムミングスラングをいくつかシェアします。覚えたところで、イギリス人以外には伝わらないですが、イギリス人と話すときに知っていたら驚かすぐらいはできると思います。
コックニースラング
①Apples and Pears 「階段」
ex : I'm gonna go up apples and pears (stairs)
「階段を登るよ」
②Have a quick butcher's
「ちょっと見る」
Can I have a quick butcher’s?(look)
「ちょっと見ていい?」
③Adam and Eve 「信じる」
I don't Adam and Eve (believe) it
「それは信じない!」
④Bread and Honey 「お金」
He has Bread and Honey (Money)
「彼はお金を持っています。」
⑤Dog and Bone 「電話」
I talked to him on the dog and bone (phone)
「電話で彼と話した」
以上が僕が聞いたことがあるコックニーライミングスラングになります。一番上の"apples and pears"は多分、この中では一番有名だと思います。
どうですが、意味は予想できましたか。ライミングというぐらいなんで、置き換えられている言葉がすべて韻が踏みやすいものが選ばれているようですね。
ナッドサット語って何?
映画では、ロシア語と英語が混じったような造語ナッドサット語 (Nadsat)がたくさん使われており、日本語字幕で観てもわからない単語のオンパレードです。
たとえばガリバー痛とは頭痛という意味だそうです。他にもデボチカは女の子という意味だったり、こういった単語がなんと50以上はあります。
(以下サイトより http://cinema.pia.co.jp/com/1319/49105/ )
これでは一回で内容を理解できないのも納得です。僕自身、時間が経ったらまた観てみて復讐したいと思います。
この映画を観たことない方は勿論、観たことある方も再度観てみてはいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれませんよ。